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名古屋高等裁判所 平成5年(行ソ)1号 判決

愛知県愛知郡日進町大字浅田字平子四-三五四

再審原告

夏目正

名古屋市中村区太閤三丁目四番一号

再審被告

名古屋中村税務署長 中嶋一夫

主文

本件再審の訴えを却下する。

再審費用は再審原告の負担とする。

事実及び理由

一  本件再審の訴えの趣旨及び理由は、別紙再審訴状に記載のとおりである。

二  右の記載に徴すると、本件再審の訴えは、名古屋高等裁判所平成四年行コ第八号所得税更正処分取消請求控訴事件の確定(控訴)判決について、民訴法四二〇条一項七号及び同項九号所定の各再審事由があると主張して、再審を求めるものである。

そこで、まず、右の確定判決に民訴法四二〇条一項七号所定の再審事由がある旨の再審原告の主張についてみるに、記録を精査しても、右再審事由の存在することをうかがわせるような証拠資料(偽証)が見当たらないばかりでなく、本件においては、右再審事由の存在を主張して再審の訴えを提起するための前提要件事実たる同条二項所定の確定判決ないしこれに準ずる事実があるものとも認められない。

また、右の確定判決に民訴法四二〇条一項九号所定の再審事由がある旨の再審原告の主張についてみるに、その主張は要するに、原判決が乙第一号証の一(メモ)を信用性があるものと判断したことが誤っているというにすぎないのであって、これが同号所定の事由に該当しないことは明らかであるばかりでなく、原判決の判示内容と記録に現れた当事者双方の主張等を比照しても、原判決に同号所定の判断遺脱があるものとも認められない。

三  よって、本件再審の訴えは、その前提となる再審事由の存在が認められず、不適法であることが明らかであるから、民訴法二〇二条に従ってこれを却下することとし、再審費用の負担につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 服部正明 裁判官 林輝 裁判官 鈴木敏之)

再審訴状

愛知県愛知郡日進町大字浅田字平子四-三五四

再審原告 夏目正

名古屋市中村区太閤三丁目四番一号

再審被告 名古屋中村税務署長 中嶋一夫

所得税更正処分取消請求控訴事件の判決に対する再審

訴訟物の価格 金 円

貼用印紙額 金三千円

請求の趣旨

再審原告を控訴人、再審被告を被控訴人とする名古屋高等裁判所平成四年行コ第八号所得税更正処分取消請求控訴事件について、同裁判所が平成四年九月二四日言渡した左記判決には後記の再審事由があるので、再審の訴えを提起する。

再審を求める判決(主文)の表示

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

再審の趣旨

名古屋高等裁判所が平成四年行コ第八号所得税更正処分取消請求控訴事件について、平成四年九月二四日言い渡した判決を取り消す。

本案および再審訴訟費用は再審被告の負担とする。

との判決を求める。

再審事由

一 再審原告が、本案(名古屋高等裁判所平成四年行コ第八号所得税更正処分取消請求控訴事件)において冒頭掲記のとおり敗訴の判決を受けたので上告したところ、平成五年二月二五日上告棄却となり控訴審における前記判決が確定した。

二 ところが本案において再審被告が主張したのは、再審被告が昭和六二年六月頃訴外関 庄平をして捏造させた虚偽文書である昭和五八年一二月三一日現在及び同五九年一二月三一日現在、同六〇年一二月三一日現在、同六一年一二月三一日現在における棚卸明細表(以下「メモ」という。)を基礎として右土地がすべて棚卸資産でないにもかかわらずこれが恰かもすべて棚卸資産であるかの如くに架装して本案で虚構事実の主張をしたことである。

三 再審原告は、右メモに対しこれが棚卸資産台帳もなく無論計上されていた事実はなく、本案訴訟において再審被告の主張を争ったが、名古屋高等裁判所は再審被告が訴外関 庄平をして捏造させた虚構事実の虚偽文書である本件メモ及びそれに基づく昭和六一年分所得税の更正加算税の賦課決定通知書である虚偽公文書(以下「昭和六一年分所得税決定通知虚偽公文書」という。)同関 庄平証人の証言偽証部分を証拠として、前記のとおり再審被告勝訴の判決をなしたのである。

四 しかして、右判決は乙第一号証の一(本件メモ)及び訴外原審証人関 庄平の証言を総合して再審被告主張の事実を認定したものである。しかるにその後再審原告において調査の結果、右証人は右訴訟において偽証したとが左記により明らかであり偽証罪に該当する。再審被告が訴外関 庄平をして捏造させた本件メモには、再審原告の所有でない愛知県海部郡美和町大字花正字郷中五九番地訴外澤田 志づ子所有の愛知県海部郡美和町大字花正字寺浦一五番地の田五六八平方メートル及び再審原告の所有でない。訴外鈴木 明重所有の愛知県海部郡美和町郷中一一八番地の田八九平方メートルが記載されておりこれは事実無根による虚偽文書作成であり、これが本件メモである。再審被告はこれに基づき右昭和六一年分所得税決定通知虚偽公文書を偽造し、再審原告にこれを交付し税金の搾取を図ったものである。

五 右証人の偽証事実は民事訴訟法第四二〇条第一項第七号同条二項により右判決の再審事由に該当し、また右再審原告の所有でない土地を恰かも所有であるかの如くにデッチ上げ架装した虚構の本件メモ捏造については同法第四二〇条第一項第九号により、右判決の再審事由に該当し同法第四二〇条第二項後段の規定により右判決の取消しを求めるため、本件再審の訴えに及んだ。

証拠書類

一 口頭弁論の際提出する。

右再審の訴を提起する。

平成五年九月二五日

右再審原告 夏目正

名古屋高等裁判所 御中

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